平成21年1月31日、朝日新聞出版より「手術数でわかる いい病院2009」という雑誌が発売される予定です。
この雑誌には、手術数のランキングが掲載されていますが、あたかも手術数が多ければ「いい病院」あるいは「実力のある病院」であるかのような印象を受けます。果たして「いい病院」の定義はあるのでしょうか?手術の数だけで評価するならば、人口の少ない地方の病院が「いい病院」になるのは難しいことです。そもそも、手術の数と成績とは統計的に相関するものであり、個々の病院について、手術数が多ければ即ち手術成績が良い、と直接的に関係づけるのは間違いです。このような意味のないランキングが蔓延すれば、手術の「質」よりも「数」の競争を煽って患者を選別したり、不要な手術を増加させる恐れさえもあります。
以上の疑問や懸念に対して朝日新聞は、“商業誌ゆえに、読者の興味を誘う仕掛けをしているのだ”と回答してきました。医療安全や医療の提供体制が問題になっているときに、マスメディアがこのような姿勢で報道や出版をすることに、私どもは強い疑念を抱かざるをえません。日本胸部外科学会も同様の見解であり、各病院に対しマスコミへのデータ提供を控えるように要請しております。以上の理由で、当院は朝日新聞に対してデータの提供は行ないませんでした。
もちろん、情報開示そのものを否定するものではありません。当院で手術を希望される患者様のために、朝日新聞のアンケートの形式に従ってデータを公開致します。手術成績は113例中、在院死亡は解離性大動脈瘤の緊急手術の1例でした。
| ①単独冠動脈バイパス手術 | ①41例 | |
|---|---|---|
| (うち、オフポンプ〈心拍動下〉手術) | (8例) | |
| ②複合冠動脈バイパス術(ア+イ+ウ) | ②8例 | |
| (ア)冠動脈バイパス手術+弁膜症手術 | (ア 6例) | |
| (イ)冠動脈バイパス手術+胸部大動脈瘤・大動脈解離 | (イ 2例) | |
| (ウ)冠動脈バイパス手術+弁膜症手術+胸部大動脈瘤・大動脈解離 | (ウ 例) | |
| ③弁膜症手術(エ+オ) | ③37例 | |
| (エ)弁膜症手術(単独) | (エ 34例) | |
| (オ)弁膜症手術+胸部大動脈瘤・大動脈解離(※) | (オ 3例) | |
| ④胸部大動脈瘤・大動脈解離(※) | ④22例 | |
| ⑤先天性心疾患 | ⑤4例 | |
| ⑥その他の開心術(収縮性心膜炎・心臓腫瘍等) | ⑥1例 | |
| 開心術合計(①+②+③+④+⑤+⑥) | 計113例 | |